NanoSuit株式会社ではNanoSuit技術を応用して、イムノクロマトグラフィーの電子顕微鏡観察による高感度検査法を開発しています。

(原理の説明)

イムノクロマトグラフィーは検出したい抗原に対する抗体(一次抗体)を吸着させた金属ナノ粒子をマーカーにしていて、それが別な抗体(二次抗体)をライン状に塗布したところ(判定ライン)に集積して得られる着色を目視または光学濃度測定で判定します。(※マーカーが金属粒子ではなく着色ビーズのものもあります)

イムノクロマトの原理説明図

しかし判定ライン上にトラップされる金属ナノ粒子が少ない場合は目視で検知できず陰性判定になってしまいます。このため一般にイムノクロマトグラフィーの検出感度は遺伝子増幅を伴うPCRに比べて低いとされています。一方で増幅を伴わないイムノクロマトグラフィーは特異度の高さがメリットです。つまり偽陽性は原理的には生じません。この点偽陽性が生じうるPCRに対し信頼性があります。

イムノクロマト電顕法説明図

(NanoSuitイムノクロマト法ー数100倍の高感度化)

NanoSuit技術を用いると、イムノクロマトグラフィーの金属ナノ粒子を走査型電子顕微鏡で直接観察できるようになり、目視判定に比べて100~数100倍高感度に検査することができます。上述のように、生物学的・化学的な増幅を一切含まないため特異度の高さ(信頼度の高さ)は保ったまま高感度検査できることがメリットです。インフルエンザ患者さんのイムノクロマトグラフィーを使用した浜松医科大学の研究により、実用上PCR同等の感度で陽性判定可能であることがしめされています。

イムノクロマト高感度検査の図

(装置開発)

NanoSuit株式会社では、この方法を社会実装すべく小型簡易な装置開発を進めています。走査型電子顕微鏡の原理を利用しつつコンパクトな装置で約1.5分の迅速検査を実現します。下の写真はそのプロトタイプです。

得られた画像から金属ナノ粒子を画像認識ソフトウエアで自動的にカウントするシステムも開発しています。

検査装置写真

NanoSuit社は、この方法に参画いただける機器メーカー、イムノクロマトメーカー、機器販売会社などを求めています。お気軽にお知らせください。